前歯を見分けがつかないほどあわせるのは難しい


前歯審美修復の患者さん。
前回型取りをして、今日はセット予定。
ところがセラミック修復の場合、なかなか色が合わない場合がある。患者さんの希望通りでなおかつ見分けがつかない前歯を作りたいのだが、これがとても難しい。
私も20数年前は歯科技工士としてセラミックワークを得意としていたが、苦労した思い出が多い。
シェイドテイキングとよんでいるが、患者さんの歯を直接観察し、写真を撮り(当時はフイルムね)細かい特徴などをスケッチする。
右の写真が色見本。世界中のスタンダードとなるビタシェード。左写真のように比較的近い色を選び目的とするはの近くに置いて一緒に写真に写しこむ。
そしてその写真を見て思い出しながらその差分を陶器の粉で表現していく。もちろんセラミストとよばれるセラミックワーク専門のテクニシャンは色彩学から学びなおす。明度、彩度、色相。そして透明度、さらに表面性状の再現も見た目の色に影響を与える。透明度を上げると暗くなるので、明るさのある透明感をいかに表現するのか?課題のひとつだ。
さらに幅のあるはをどうやって細く見せるか?イリュージョンといって目の錯覚を利用するテクニックもある。
それらの知識と技術を駆使して綺麗な前歯は作られる。歯科技工士は職人の腕と科学者の頭を併せ持つのだ。
ところでこの患者さんは、少し色が暗かったので再製作になったのでした。合うまでやります。アクアデンタル。
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